スンデは、
伝統的な朝鮮半島の腸詰め
。豚や牛の腸に、ミンチ状にして味つけした肉やもやし、葱、
春雨
などと豚や牛の血を混ぜて詰め、両端を縛って茹でるか蒸したもの。具はさまざまで、もち米や豆腐、椎茸を入れることもある。
現在では豚の腸に詰めることが多いが、牛の腸を使うと少し細いスンデができる。昔は犬の腸に詰めて作っていたこともあり、李氏朝鮮王朝時代の料理書『飲食知味方』(1670年頃)には、犬の腸詰めが「
ケジャン
」という料理名で出てくる。
スンデはもともと、朝鮮半島でも咸鏡道(ハ
ム
ギョンド)や平安道(ピョンアンド)など北部地方でよく作られる食べものだったが、朝鮮戦争で避難してきた北部出身者によって韓国内でも広まり、今では「
」(
アバイスンデ
)という愛称ですっかり定着している(「アバイ」は「おじさん」という意味の北部方言)。
現在、韓国ではスンデを専門に作る飲食店や市場の露店で出来たてのスンデを食べることができるほか、市場やスーパーでも売られている。
(スユッ:水肉)
という、頭肉などの雑肉を茹でて薄切りにしたものや、茹でたレバーなども一緒に売られていることが多い。
↑切った状態のスンデ
■
スンデにみられる食の知恵
一見グロテスクなスンデは、好みも分かれる食べものだが、スンデには肉食文化の伝統から生まれた知恵が込められていることがわかる。
かつて、動物の肉を口にするのは、特別な日にしかできないことだった。家畜であれ野良であれ、命ある動物を絞め、肉や骨のみならず内臓や血まで余すところなく上手に食べつくすための調理法として、スンデは生まれたといえる。いたみが早い内臓や血も、腸詰めにして火を通せば、ある程度保存がきく。
もうひとつ、栄養面からみたスンデの素晴らしさも見逃せない。スンデには、豚や牛の血に含まれる豊富な鉄分とタンパク質、ビタミン類がそのまま生きているほか、すぐれた造血作用もある。朝鮮半島では、牛や豚の血を
(ソンジ)
といって、スンデ以外にもスープに入れるなどして食べられている。
↑ソンジクッ
■
スンデを使った料理
茹であがったスンデは、薄い輪切りや斜め切りにして食べる。塩に粉とうがらしや胡椒を混ぜたものや、アミの塩辛に
にんにく
やとうがらしなどの薬味を混ぜたたれにつけて食べることが多い。
また、スンデを使って、次のような料理も作られている。
(スンデクッ)
:スンデのスープ。豚骨でとったスープに、輪切りにしたスンデやスユッ(上記参照)、
タンミョン(韓国春雨)
を入れ、葱などを散らして作る。味つけは塩のみ、あるいは味噌やコチュジャン(とうがらし酢味噌)を加えて臭みを消すこともある。
(スンデクッパ
プ
)
:スンデクッにご飯を入れたもの。
(スンデポック
ム
)
:スンデの炒めもの。輪切りにしたスンデをキャベツや玉葱、とうがらし、
えごまの葉
などの野菜とともに甘辛く炒める。
↑スンデの甘辛炒め
■
他にもあるスンデの仲間
腸詰め以外にも、「スンデ」と名のつく食べものには次のようなものがある。
(オジンオスンデ)
:いかの詰め蒸し。いかの胴体に、刻んだゲソやもやし、豆腐、キ
ム
チなどの具を詰めて蒸したもの。酢じょうゆをつけて食べる。江原道(カンウォンド)・東海岸の郷土料理。
(
トンテ
スンデ)
: 丸
鱈
の詰め蒸し。凍らせた
鱈
を丸ごと使い、口から腹わたと骨を抜きとり、中に具を詰めて茹でるか蒸したもの。咸鏡道(ハ
ム
ギョンド)地方の郷土料理。
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