インド〜東南アジア原産。ウリ科の野菜で、旬は夏。夏が旬なのになぜ「冬瓜」という名がついたかというと、表皮がとてもきめ細かく丈夫で、長期保存がきいて冬まで貯蔵できたため、という説が有力。実際、ウリ科の青果といえば、きゅうり、かぼちゃ、すいか、にがうり、メロン、へちまなどどれも夏が旬であることを考えると、その中にあって唯一「冬まで保存できる野菜」という意味がうなずける。
日本では冬瓜が平安時代から栽培されていたといわれるが、朝鮮半島でも古くから食べられており、李氏朝鮮王朝中期の農書『閑情録(ハンジョンノッ)』(1610頃)に冬瓜の栽培法が記されているほか、『屠門大嚼(トムンテジャッ)』(1611)でも冬瓜が言及されている。また、料理書『飲食知味方(ウムシッチミバン)』(1653頃)には「 」(トンア
ヌルミ:蒸し冬瓜のあんかけ)、「 」(トンア
ソン:冬瓜の煮浸し)、「 」(トンア
トンチェ:冬瓜の刻み漬け)、「 」(トンアジョッ:冬瓜の串焼)など、冬瓜料理の作り方が出てくる。
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■冬瓜の健康効果 |
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冬瓜は近年、低カロリー・ダイエット食材として日本でも注目されているが、水分を多く含み消化がよく、利尿作用にすぐれ、体の熱をとってくれることから、古くから夏向きの食べものとして重宝されてきた。このほか豊富に含まれる成分にビタミンCがあり、美肌効果、体の免疫効果も期待できる。 |
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■冬瓜を使った韓国料理 |
古くから朝鮮半島で食べられてきた歴史ある冬瓜だが、時代とともに他の野菜にとって代わり、現在では宝城(ポソン)−全羅南道−や淳昌(スンチャン)−全羅北道−でわずかに栽培されるのみという。料理法も限られるが、次のようなものがある。
(トンアチョングァ):冬瓜の甘露煮。
冬瓜を大きめのかたまりに切って皮をむき、貝殻を粉にして焼いた「貝殻灰」をまぶして2日間おき、水分を抜く。この下処理をした冬瓜を、蜂蜜や未精白糖でじっくり煮詰めて仕上げる。
(トンアチャンアチ):冬瓜のコチュジャン漬け。
上記の「トンアチョングァ」同様に冬瓜を下処理し、茹でてからコチュジャン、しょうゆ、砂糖、水飴などを混ぜた床に漬け込む。1か月後くらいから食べられ、床から取り出して食べるときに一口大に刻む。
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