生姜は南アジア、すなわちインド〜マレー半島にかけてが原産地で、中国には紀元前500年ごろ、日本には3世紀ごろ伝来したといわれる。朝鮮半島への伝来時期は不祥だが、文献上初めて登場するのは『高麗史』顕宗9年(1018年)の項で、王からの下賜品として生姜が用いられたという記述。次いで、13世紀中ごろに刊行された医書『郷薬救急方』にも、薬用植物として生姜が登場する。
一方、ヨーロッパにも生姜は古くから伝わっていたものの、一般に知られるようになったのは14世紀以降、東洋の貴重なスパイスとして胡椒とともに脚光を浴びるようになってからといわれる。
生姜は韓国料理において、食材というより薬味香辛料として、主に料理やお菓子の味つけや香りづけ、魚や肉の臭い消しに使われることが多い。その一方で、すぐれた薬効があるため、日本以上に朝鮮半島でも、古くから韓薬(ハニャッ)-漢方薬-や民間療法の生薬として生姜が活用されてきた。
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生姜のすぐれた薬効
生姜は古くから、胃腸の働きをよくして消化不良を防ぎ、吐き気、嘔吐を止めるほか、強壮作用、去痰作用、鎮痛作用などのすぐれた薬効が認められている。また近年では、生姜のもつ免疫効果、抗ガン効果、抗酸化効果も明らかになってきている。
また、生姜に含まれるタンパク質分解酵素プロテアーゼは、肉を軟らかくする働きがある。豚肉料理に生姜や生姜汁がよく使われる背景に、こうした効果があることも理解できる。
もうひとつ、生姜となつめの相性の良さも見逃せない。なつめは生姜の刺激性を和らげ、生姜はなつめの腹部膨満を抑える、という相互補完作用である。このため、朝鮮半島の伝統菓子や伝統茶には、生姜となつめを一緒に使ったものがしばしばある。
↑なつめ
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生姜を使った韓国料理
生姜は上述のとおり、韓国料理において副材料として使われることがほとんどだが、お茶やお菓子の中には、生姜を主材料とするものもある。
(センガンチャ、生姜茶)
:薄切りにした生姜と水をやかんに入れ、コトコトと煎じた飲み物。好みで蜂蜜や砂糖を入れたり、なつめの千切りや
くるみ
、
松の実
を浮かべたりする。煎じるときに
高麗人蔘
やなつめ、シナモンも一緒に入れることがある。
(センガンチョングァ、生姜正果)
:生姜の甘露煮。
薄切りにした生姜に砂糖と水を加えて弱火で煮た後、水飴を加えて照りよく煮上げた伝統菓子。生姜の辛味によって、1〜2回茹でこぼして辛味を抜いてから用いる。
(センナン、生卵)
:生姜のお菓子。
みじん切りにして汁を絞った生姜に砂糖と水飴、蜂蜜を加えて水分がなくなるまで煮詰め、生姜片のように形作って
松の実
のみじん切りをまぶしたもの。
(センガンナン、生姜卵)、
(カンナン、姜卵))ともいう。
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